京都大学履修証明プログラム 学校経営ディレクター資格プログラム

プログラム内容
講義概要

提供予定科目

【必修】私学経営原論/12コマ(18時間)

      • 私学の組織特性
        海外の事例としてイギリスの学校形態を紹介し、日本における私立学校と公立学校の違いを法的観点を含め考えていきます。
        学校法人と一般的な財団法人や事業法人との違いを見つめ、私学の組織特性を明らかにします。
      • 私学法制
        まず教育法規の構造について確認し、そこから私立学校関係法規について、特に私立学校法や私学振興助成法に着目して論じていきます。

        • 私学法制演習
          私学の紛争事例を採り上げ、具体的に学んでいきます。
          昨年度は「私立学校における教育内容の変更と損害賠償請求」を一例として採り上げ、事件の概要から最高裁判決に至るまで、判決理由も含めて詳細な検証を行いました。
        • 私学経営原論(1)(2)(3)
          (調整中)
        • 私学経営提案演習
          実際の教育現場で、日々実践されている明確な学校方針に基づくマネジメントとは? 一部の講義では実際に現場でリーダーシップを発揮している「熱」を持った理事長や学校長を講師として招きます。
          私学経営の命題である「安定した生徒募集」につながる学校改革・大学改革について、実践例からそのエッセンスを吸収していただける講義です。また実践の裏付けとなる理論についても学びます。

    • 進学校の教育
      この講義は灘中学・高校の和田校長が講師を担当します。急激な少子化の中にあっても選ばれる学校になるためには何が必要になるのか? 灘中学と灘高校で実際に行われている教育内容を事例として考えていきます。
    • 大学におけるIR
      少子化の影響を受けて全国の私立高校・大学では熾烈な生き残り競争が繰り広げられています。生徒・学生募集を担当する部署へのテコ入れや業務改善はもちろんですが、本質的には生徒・学生に対する教育の質の向上やキャリア形成にかかる組織的な改善が急務となっています。
      この講義では諸課題に対する政策形成や意思決定のエビデンスとなる、学内で行われる調査研究(IR)の手法について学びます。

  • 私学の経営再建
    進行する少子化の影響で2018年度入試において定員割れをおこした四年制の私立大学は36.1%であり、学費収入の減少により経営の危機に直面している学校法人は少なくありません。
    この講義では実際に経営危機に直面している学校法人の立て直しをめぐって日々奮闘している講師が、極めて具体的な事例を示しながら経営再建という課題について語ります。
  • 私学経営分析(1)(2)
    (1)では、全国の私立大学の中でもトップクラスの志願者を獲得する大学に成長した近畿大学を成功モデルの一つとして採り上げます。経営や財務の改革に触れ、さらに岩盤のように強固な偏差値という大学の序列を打ち破り、偏差値に代わる新たなブランドを創出した近畿大学の経営手法について分析します。
    (2)では、文部科学省や各審議会での教育政策決定の過程について丁寧に紐解いていきます。そのうえで、私学側からの政策提言とその実現に向けてのアプローチについて考えていきます。

【必修】組織マネジメント1/12コマ(18時間)

      • リーダーシップ論(1)(2)
        さまざまな緊急課題に直面している学校組織では、日常業務を遂行するためのリーダーシップとは異なり、組織変革のためにメンバーの意識改革を促進するリーダーシップの発揮が求められています。
        行動アプローチの観点からPM理論を、次に状況に応じて求められるリーダーシップという観点からSL理論について講義します。
        更に具体的なリーダーシップ発揮の場面として、「部下に対する具体的な行動とは?」「生産性の高い会議の形態とは?」「部下の承認欲求を満たす正しい報酬の形とは?」を想定し、それぞれの場面で考えられる優れたリーダーシップのあり方について論じます。
      • マーケティング(1)(2)
        マーケティングとは3C分析【「市場/顧客」(Customer)、「競合」(Competitor)、「自社」(Company)】を基本とします。
        私学経営におけるマーケティングとは決して市場/顧客に100%迎合するということではありませんが、一方で提供している教育内容が市場に評価されなければ経営が成立しない時代を迎えています。
        広告という側面では、自分たちにとってのターゲットとはどの層か? そこに向かって何を伝えるのか? どういう表現(あるいは媒体)を用いれば伝わるのか? が肝要となります。そして広告を打ったならば必ず費用対効果の検証を行う必要があります。
        あるいは広告とは別次元のブランディング戦略として、丁寧な教育実践や地道な学校訪問で口コミ評価を獲得する方が有効である可能性もあります。
        この講義では私学における自前のマーケティング手法と、その分析をエビデンスとしたアクションの発展形について深く学ぶことができます。
      • 経営論(1)(2)
        (1)では、企業経営的視点に立った私学経営実践の全体について、具体的な事例を挙げながら説明します。不確実性の時代にあって、学園を取り巻く環境変化は大きく変わっています。この待ったなしの存続に向けた学園改革、企業経営視点についてお話します。
        (2)では、学校法人のガバナンスについての講義を行います。学校法人の収入源を確認し、様々な学校法人で起きた背任事件、補助金の私的流用、理事長の所得隠しなどの実例を採り上げます。また学校再生のスキームについての解説も行います。
  • 組織分析評価(1)(2)
    個々の学校法人の現在を客観的に分析評価する手法について学ぶ講義です。(1)では、米国マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)の経営品質向上活動を採り上げます。ここでいう経営品質では「組織の目的(理想)をどれだけ実現できているか?」が問われます。このMB賞の「教育編」の審査基準を項目ごとに細かく紐解きます。
    また三重県で行われている学校経営品質活動についても紹介します。
    さらにアメーバ経営の特徴を取り上げ学びます。①非常に小さな組織での独立採算(役割・責任の明確化)について ②収支決算は「時間当たり換算」(生産性の向上)について ③タイムリーで正確な経営情報について。また一方で、停滞する学校組織に見受けられる3つの特徴、①低いタスク依存症 ②個業化 ③あいまいな目標について。
    どうすれば学校組織に「アメーバ経営」を取り入れることができるのか? この問いに迫ります。
    (2)では、SWOT分析を採り上げます。SWOT分析では内部環境である「強味(Strength)と弱み(Weakness)」、外部環境である「機会(Opportunity)と脅威(Threat)」の4つの要因を軸に取ります。
    学校法人を取り巻く環境による影響と、それに対する学校法人の現状を分析し目標達成のための戦略を練るための分析ツールです。様々な分析手法を習得することで、論理的な政策提言を行うことが可能になります。
    また、京セラ名誉会長の稲森和夫氏が企業経営の実体験から編み出した「アメーバ経営」の教育機関への適用について講義します。
  • 組織マネジメント(1)(2)
    日本の企業が期待する人材はどのようなもので、どのような教育が求められているのか。逆に、現代の若者の職業・就職観とはどういうもので、大学選択はどのように考えられていくのか。組織と人材・教育についての現代的課題を考察していきます。
  • 課題提案演習(1)(2)
    この演習では、受講生の各自が所属する組織の課題を抽出し改善方法について実際的に検討します。

【必修】組織マネジメント2/12コマ(18時間)

      • コンプライアンス
        学校法人においてコンプライアンスが必要な事項は、授業、進学、就職、業務体制、残業、通勤・通学、職員の態度、保護者対応、人権の尊重、体罰、いじめ、セクハラ、情報セキュリティなど多岐にわたります。
        この講義では危機管理としてのリスクマネジメントとクライシスマネジメントについて、弁護士が講師を務め解説します。またコンプライアンス違反が及ぼす影響である刑事責任や民事責任、社会的非難についても触れ、「防止対策」「さらに重要となる問題発覚後の初期対応」「いかにして再発防止につなげていくか」について考えていきます。
      • ハラスメント・ストレスマネジメント
        セクシャルハラスメントとパワーハラスメントを採り上げながら、学校法人でのハラスメントについて考えます。弁護士が講師となり、事前の防止対策から問題が起きた際に事業主が講ずべき処置までを、実際の紛争事例を交えながら指南します。またストレスマネジメントについての解説も行います。
      • 女性教職員のキャリア形成
        平成28年に成立した「女性活躍推進法」を採り上げ、厚生労働省が推進する大事業主に義務つけられている行動計画について解説します。
        行動計画は「自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析」→「行動計画の策定、社内通知、公表」→都道府県労働局への「行動計画を策定した旨の届出」→「取組みの実施、効果の測定」というフローで作成します。
        学校法人での実例として、京都大学の男女共同参画推進アクションプランや複数の私学の取り組みを紹介し、私学での女性教職員のキャリア形成にかかる法人としての組織的かつ計画的な取り組みについて受講生といっしょに考えていきます。
      • クレーム対応ケーススタディ
        数多くの「教育裁判」事例を教材として、適切な学校運営と保護者対応について学ぶ講義です。体育の授業中や教室内、課外活動などの場面で生じた事故や生徒の自殺をめぐる判例を紹介します。
        「なぜ、保護者が裁判に訴えなければならなかったのか?」「学校の対応のどこに原因があると裁判所は判断したのか?」「学校(教師)が責任を問われるケースと問われないケースの線引きはどこにあるのか」など、裁判所が指摘したことから、正常性バイアスに捉えられている教師への啓蒙活動の大切さや、学校全体での予防策を教示します。
        小中高学校を舞台とした裁判事例を採り上げる講義ですが、大学でのクラブ・サークル活動や学園祭などの運営管理への援用も意識した講義です。
      • 量的・質的研究演習
        量的研究とは、「複数のサンプルからデータを収集し、事象を数量化し、統計的に分析するという研究法」です。対して質的研究とは「被験者が表現した内容に関して、その主観的な意味内容に焦点を当てて、状況や場面、そして自身を含めた文脈の全体性について、論理的解釈を行う研究法」です。
        この講義では主に学校改善を目的とした質的研究に焦点をあてます。数字で測定できない教育(政策)の成果を捉えたり、数値による評価では切り捨てられてしまう部分の明確化とその測定方法について考えていきます。
  • エビデンスに基づく政策形成
    政策決定の根拠となるエビデンスについて専門的に学ぶ講義です。エビデンスには、その妥当性にレベルがあります。
    高度なエビデンスについて考えるモデルとして、アメリカのミシガン州で就学前の3、4歳児を対象に行われた「ペリー就学前計画」における50年のスパンでの追跡調査結果を採り上げます。
    さらにイギリスでのエビデンスに基づく教育の導入を紹介し、日本の教育分野における高度なエビデンスについて考えていきます。
  • LMSによるデータ共有
    この講義は「ビックデータの活用」「AIの歴史」「eラーニングの基礎知識」「ICT教育の実情と今後」「デジタル教材について」「学習データについて」「学習情報の収集と分析について」「教育ICTにおけるビックデータ活用」「個人情報とセキュリティ」といったLMSをめぐる基礎的な知識に触れつつ、様々な分野で情報化が進む社会全体の流れを踏まえた上で、教育の情報化について、また1人1台の情報端末から収集される教育データの利活用について論じます。
    これらは,単に教育現場に情報端末が増えるというだけの話ではありません。教育そのものの形を変える可能性をもっていると共に、どのようにどんな教育活動を行うかによって、社会のあり方を良くも悪くもする可能性をもっています。従来では不可能であったどのような教育が起きうるのか、また、どのような従来にはない問題が起きうるのか、基本的な事項を押さえつつ、現状と今後の課題について論じます。
  • 政策提案・論文作成(1)(2)
    受講者が所属する組織で、政策提案を行う際に必要となる論文作成の技術についての講義です。
    (1)では、論文制作の課題設定方法について学びます。適切な課題設定が論文採用の第一歩となるため、たいへん重要です。「研究課題の選択の重要性」「良い研究課題とは?」「課題設定上の留意点」という項目についての基本的な考え方を論じます。
    (2)では、実際に論文を書く技術について学びます。全体の構成や文の組み立て方法など、具体的な手法を紹介します。
  • 海外教育事情(1)(2)
    マレーシアなどのアジアから欧米までの海外の教育現場で起きている事象を見つめ、そこから日本の教育を振り返る講義です。諸外国で起きている移民に対する教育問題をはじめとする教育のグローバル化は、日本の教育現場においても現実のものとなっています。
    今後多くの私立学校でも経営課題になると想定される国際対応について考えていきます。
  • 政策提案総合演習
    最終論文の作成(例年1月末期限:8000字程度)を意識した講義です。「政策提案・論文作成」での講義内容を更に深めた講義です。

【必修】カリキュラム・マネジメント/12コマ(18時間)

      • 入試改革と高大接続
        高大接続改革とは「高等学校教育」と「大学教育」、この両者を接続する「大学入学者選抜」を連続した一つの軸として、一体的に改革するものです。背景には少子化や国際競争の進展があり、大学教育の質的転換(しっかり学ぶ大学教育)が求められています。
        「大学入試が変わらないと高校教育が変わらない」という関係性もありますが、この講義では人口減少が続く日本社会の将来を担う若者を育てるための高大接続の在り方について論じます。
      • 高大接続事例演習
        この講義では効果的な高大接続の制度について考えます。
        日本で比較的関心を集めている国際バカロニア(IB:International Baccalaureate)について紹介し、その問題点についても言及します。
        もう一つの可能性として、アメリカで広く普及しているAP(Advanced Placement)を採り上げ、APプログラムの歴史的な変遷や受講者側と大学側の双方のメリットについて論じます。
      • グローバル教育の動向
        グローバル化の進行により、留学生の受け入れ/送り出しが教育界にとっての重要課題となっています。
        受け入れ面では大学の評価基準となる「国際化」のための方策でもあり、他方では学生確保という経営上の課題への対応策として取り組まれることもあります。また、送り出し面では海外の大学を現実的な進路として提示することで、生徒・学生にとって魅力のある学校としての価値を高めることができます。
        受け入れ/送り出しの双方に共通するのは留学制度が学校の特色化に繋がるという点であり、これからの時代の私学経営においては無視することのできない要素となります。
        さらに、今日では第三国への分校設置などに代表される国境を超えた高等教育(トランスナショナル高等教育)の進展で、留学の形態も多様化しています。この講義ではグローバル化の時代における留学の最新動向について学び、私学経営における留学の意義について考えます。
      • アクティブラーニング
        少子化により私立の学校法人での入学者の確保は、質量の両面において難化する傾向にあります。
        一方で産業界が大学を卒業する若者に期待する素質や能力は、「主体性」と「コミュニケーション能力」の2つが突出して高くなっています。
        変わりゆく環境の中で求められている教育的ニーズに応えるためには、「何を教えたか?」という学校(教師)側の視点で教育効果を測るのではなく、教育の受け手である生徒や学生が「何を学んだか?」と主体的に振り返ることができる「学びのパラダイム変換」が必要となります。
        この講義では、生徒や学生自身が21世紀型スキルを身に付けることを目指すアクティブラーニングの構築について論じます。事例として、京都大学の取り組みについても紹介します。
  • UbD(逆向き設計)理論編・実践編
    「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、最終到達目標に設定し、そこから遡って授業を計画する「逆向き設計(UdD:Understanding by Design)」によって主体的かつ対話的な深い学びの場を創造していく手法を学びます。
    「逆向き設計」とは、米国の真正の評価論研究者達によって提唱されたカリキュラム設計論で、「知の構造」を三層でとらえ、学習者の深い学びを明確に構造化しています。わが国においてもディープ・アクティブラーニングの有効な授業設計論として認知され、世界においても、全米はもとより、ヨーロッパ、アジア等、また国内外の国際バカロレア校でも取り入れられています。
  • LMS(1)(2)(3)(4)
    LMS(Learning Management System)とは、eラーニングの実施に必要な学習教材の配信や課題の提出、評価、成績などを統合して管理する学習システムです。LMSを活用した情報や教材の共有等について、教育の情報化に関するいくつかの論点について、各自で情報収集し、レポートをまとめます。
  • AIと教育改革
    AI時代に求められるスキルとは何か? AIの進化は教育にどのようなインパクトを与えうるのか?
    この講義は以下の項目で論じていきます。(1)AIに関する研究動向、(2)機械学習分野に関する研究動向、(3)日本政府の政策、(4)革新知能統合センター、(5)人工知能利用の枠組み、(6)問題の所在は?(7)シンギュラリティ仮説、(8)教育領域とAIの関係
  • 特別支援教育とユニバーサルデザイン
    学びに困難を示す子どもたちの認知しやすい障害だけではなく、発達障害などの認知しにくい障害について解説します。
    特別な教育的支援を必要とする児童生徒のための法整備の現状や、文部科学省による「合理的配慮」の決定に当たっての基本的考え方を紹介したうえで、現実の教室で行われている「環境作り」をはじめとする支援策を例示します。
    学びのユニバーサルデザイン(UDL:Universal Design for Learning)の三原則やガイドライン、チェックポイントについて論じ、UDL導入教育における他の児童への波及効果や教師の意識改革を含めた教育現場での実践について考えていきます。

【必修】ファイナンス・マネジメント/16コマ(24時間)

      • 資源配分論(1)(2)
        (1)では、私学経営にも大きな影響を及ぼす日本の教育資源配分についての知識の獲得を目指します。
        我が国では、国・地方を問わず厳しい財政危機の状態にあり、公財政支出教育費の確保が厳しくなっています。他方で同様の問題を抱えるイギリスやアメリカの教育には、過激なまでの市場原理が導入されています。
        この問題の本質とは何なのでしょうか? 高等教育財源を圧迫している社会保障費や消費税増税議論に触れながら、解き明かしていきます。そして日本と欧米諸国との政策決定の特徴を見つめ、日本型政策決定の問題点についても論じます。
        (2)では、教育資源配分の時系列分析を行います。昭和30年を起点として現在に至るまでのGDPと総行政費に対する公財政支出教育費の推移を確認します。そこから日本の教育費支出の特異性に触れながら、日本の教育普及の要因を提示し、その妥当性について論じます。
      • 教育経済計算演習
        教育産業を国民経済全体の中に位置付けた場合、その生産規模や生産要素はどうなるでしょうか? 計算手法としての国民経済計算体系(SNA:System of National Accounts)を紹介し、次に93SNA(1993年に国連が加盟各国にその導入を勧告した国民経済計算の体系の名称)で重要となる部門分別と勘定の設定について述べていきます。
        教育部門の算出と消費状況については、私立学校を対家計民間非営利サービス生産者と分類し、その産出額、中間投入額、付加価値を推計する計算方法を教示します。
      • ファイナンス・マネジメント(1)(2)(3)(4)
        (1)と(2)では、学校法人で活躍する公認会計士が講師となり、私立学校会計の仕組とガバナンスについて講義を行います。
        基本金、資金収支計算書、消費収支計算書、賃借対照表について詳しく解説し、財務分析のチェックポイントを明示します。
        さらに学校会計における会計不正についても事例を挙げ、学校法人のガバナンスの在り方について考えていきます。
        (3)と(4)では、学校法人での財源調達手段の一つである「学校債」がもつ可能性について、イギリスの先進事例を提示しながら考察します。
        特に「格付け」に焦点をあて、その判断基準を示し、社会から信頼度の高い格付けを得るために必要な法人内の努力目標を明らかにしていきます。
        また日本で実際に行われた2つの学債発行(金融機関媒介型と直接公募型)をモデルケースとして紹介します。
      • 財務分析
        この講義も公認会計士が担当します。複数の財務諸表をテキストとして使用し、実際の財務諸表の読み込み演習を通して、受講者の財務分析を行う能力の養成を目的としています。
  • 統計処理(1)(2)(3)(4)
    (1)では、「データの種類(名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度)」「データ入力の仕方」「度数分布表の作り方」「ヒストグラムの作り方」「ヒストグラムを解釈するときの注意点」について取り扱います。統計処理の基本である度数分布について、表・グラフを作成できるようになり、そこから調査した集団の特徴を考察できるようになることを目標とします。
    (2)では、基本統計量(算術平均、中央値、最頻値、分散、標準偏差 等)の考え方について学ぶとともに、表計算ソフトを用いた各数値の算出の仕方について取り扱います。基本統計量を介して各調査集団を比較することで、度数分布表やヒストグラムだけでは気づきにくい調査集団の特徴について考察できるようになることを目指します。
    (3)では、データ同士の関係性を把握するための方法として、クロス集計表の作り方、相関係数の計算の仕方について取り扱います。また、推測統計学の基本として回帰分析の考え方を学ぶとともに、表計算ソフトを用いて単回帰分析ができるようになることを目指します。
    (4)では、実際にアンケート調査をする際の調査計画の立て方について学ぶとともに、調査結果における具体的な集計方法やグラフの見せ方について解説します。複数回答形式の質問項目を集計する際の間違えやすい集計の仕方など、具体的な事例をもとに注意点を解説していきます。
  • 資産運用(1)(2)
    日本の金融業界の資産運用営業やサービスについての問題点を明らかにし、営業マンに頼らない自立した資産運用についての知見を獲得するための講義です。(株)財コンサルティングの代表取締役が講師を務めます。
  • 組織分析評価(1)(2)
    (1)では、「学校組織の活性化と組織のやる気作り」をテーマにした講義を行います。組織を活性化させるためには個人のやる気だけではなく、組織のやる気を高めることが重要な課題となります。組織のやる気を高めるスクール・リーダーシップの能力を持った人材が求められているのです。
    このリーダーシップを発揮するための重要な要素である「組織における個人の動機付け」について論じていきます。
    (2)では、組織における経営的意思決定に関する経営学の変化について述べていきます。
    「組織の決定は必ずしも合理的ではない」という観点から、合理的でない決定に至ってしまう組織の構造や要因を捉えていきます。具体的な事例として2003年のスペースシャトル・コロンビア号の空中分解事故を採り上げ、不具合が生じていることが濃厚な機体を大気圏へ突入させた際の判断と、決断者が置かれていた状況について検証していきます。
    そこから「規範的意思決定論とその限界」について提示し、誤った判断がなされる要因の一つである「認知バイアス」についても論じていきます。

【必修】コミュニティ・リソース・マネジメント/8コマ(12時間)

  • スクールロー/QFT
    この講義ではボストンに本部を置くRQI(The Right Question Institute)の開発したQFT(Question Formulation Technique質問づくりの手法)をワークショップ形式で紹介します。かつて「問う力」のスキルは一部のエリート校でだけ扱われていましたが、RQIは誰もが「問う力」の向上が図れるよう、7つのステップと3つの高次の思考を活用するQFT(質問づくりの手法)として構造化に成功しました。現在、QFTは、問う力の向上によるコミュニティとのエンゲージメントを高めることを目的に20年以上も磨き上げられ、教育・研究界のみならず、地域コミュニティ、ビジネス、医療の分野でも活用されています。
  • PBIS/ポジティブ心理学
    ポジティブ心理学は心理学者マーティン・セリグマンによって米国で提唱された、「幸福」や「心身ともに健康な生き方」を探求する心理学です。ポジティブな感情をはじめとしたテーマに科学的にアプローチし、人間関係づくり、教育、ビジネスの現場などで活用が広がっています。
  • コーチング(1)(2)(3)(4)
    コーチングとは、相手の可能性を引き出し、その人の自主的な前進をサポートするコミュニケーションスキルです。この講義では4回に分けて、学校組織における部下へのコーチングについて学んでいきます。
    「コーチングの前提となるリーダーとしての人間観」「傾聴のスキル」「承認のスキル」「メッセージスキル」「質問のスキル」「フィードバックのスキル」「コンプリーション(完了)」まで、優れたコーチングを発揮するために必要なスキルや考え方について、ワークショップを交えながらじっくりと学んでいきます。
  • 学校包括的アプローチ
    家庭、地域、学校、社会などの子どもたちを取り巻く環境の変化により、子どもが育つために必要な「場」と「サポート」が喪失されています。この講義では、子どもたちが育つために必要な人間関係を学ぶ「場」の創造と、育ちを支えるサポート体制の再構築について考えていきます。
    教師たちによる学校運営の改善、子どもたち同士が支え合うという観点に立つピア・サポート、教師や専門家や保護者による支えなど、多層的な支援を同時におこなうことの必要性を論じます。
    教室での一教師対生徒たちという限定されたものではない、広い視野での子どもへの教育的アプローチを教示します。
  • ワールドカフェ/リトリート
    ひとり一人の「関係性を作る力」および「コミュニティーと積極的、協働的、生産的に関わる力」をどのように育むかについて、米国ですでに効果検証された具体的な方法を、マインドセット、マインドフルネス、共感力の育成などをテーマにワークショップ方式で紹介します。
【必修】LMS1~4課題演習(1)(2)

LMSを活用した情報や教材の共有等について演習を行います。

【選択】教育政策実習1~4

教育政策の形成過程を学ぶためフィールドワークを行います。

合計 8科目/80コマ(120時間)
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*必修の記載は、京都大学の履修証明書発行のための必修科目です。

*学校経営ディレクター資格の取得には、上記履修証明書の取得に加え、レポートの提出、並びに口頭試問での合格が必要です。