10月26日、京都大学教職科目「教育課程論Ⅰ」の中で元京都府中学校長の盛永俊弘先生にご講演をいただきました。盛永先生からは、先生が校長として着任された中学校における学校づくりの事例を中心にお話しいただきました。
盛永先生は「授業づくりを根幹にした学校づくり」をしておられました。学級崩壊や校内暴力など、いわゆる学校の「荒れ」に対して盛永先生はまず授業をわかるものにして、授業の中で生徒の居場所を作るという改善を行いました。生徒指導と教科教育は別個のものとして考えている学生が多く、新鮮な視点として受け止めていました。この考えの背景には、「授業を放棄」した生徒から「授業がわからないで6時間座っているオレたちの気持ちがわかるのか」と言われたご経験があるそうです。
また生徒指導においては、問題の原因把握やその分析に終始するのではなく、現状を改善する方向へ焦点をあて、早期解決を目的とした「解決志向的なアプローチ」をされていました。これらの視点は、盛永先生が生徒の言葉に真摯に耳を傾ける姿勢を崩さないからこそ生まれたものであると感じました。これは前述のエピソードや、生徒に授業アンケートを書いてもらい、すべてに目を通していたとおっしゃっていたことからもうかがえます。一方で盛永先生は様々な文献から知見を得られており、経験だけにとどまらない知見の吸収が教師としての力量形成に必要だとわかりました。
盛永先生のご講演を拝聴し、教師の最大の仕事は授業づくりであると再認識させられました。
(文責:教育学部3回生 鎌田祥輝)
※本講演は、京都大学のオープン・コースウェアのサイトに掲載されております。
→京都大学OCW → 教育学部 → 教育課程論Ⅰ,2016
http://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/03-faculty-of-education-jp/16-9233001